音楽理論の雅楽寮

音楽理論:021

サブドミナントマイナーの代理コード


本項の概略

サブドミナントマイナーというコード

サブドミナントマイナーの根拠

まずサブドミナントマイナーがどこから来たと捉えるのかを考えてみましょう。第15項:主要和音の>サブドミナントマイナー>サブドミナントマイナーの根拠でも解説したようにこのコードは同主調の第4音上にできるコードとして考えるのが普通です。

譜例1 サブドミナントマイナーFm7の根拠
Cm7・Dm7(♭5)・E♭maj7・【Fm7】・Gm7・A♭maj7・B♭7

このようにサブドミナントマイナーは本来のキースケールにはない音を使用してできるコードなわけです。

決め手は3度音

それではキーCメジャーに於けるサブドミナントマイナー、Fm7を見てみましょう。

譜例2
コードFm7:f・【a♭】・c・【e♭】

ご覧のようにキーCメジャーのキースケール(Cメジャースケール)に含まれていない音はです。コードの体型として基本的なものは3和音の形であり、3和音では3度音によってそれがメジャーコードであるかマイナーコードであるかに分かれます。(詳しくは第11項:3和音(トライアド)を参照)もちろん7度音もコードの機能に影響を与えるものですが、コードの基本的な部分に立ち返るとまず3度音に注目しなければなりません。

依って上記譜例2のFm7のコードの3度音がであることに着目します。この音がサブドミナントコードをサブドミナントマイナーコードに仕立てているわけです。

代理コードの条件

条件は3度音のみ

単純なようですが、サブドミナントマイナーの代理コードはそのサブドミナントマイナーの3度音が含まれているコードということなのです。Fm7でいえばが含まれているコードならば何でも良いということです。

想像できると思いますが1音が含まれていればよいので様々なコードが考え得ることができます。

簡単な例

同主調という特性から

サブドミナントマイナーの代理コードは前述の通り沢山あり、ここで全てのコードを紹介することはできないのでその中で使い易いものを取り上げてみます。

サブドミナントマイナーが同主調に由来することを考えればその同主調のダイアトニックコードは比較的使い易いといえるでしょう。

譜例3
Cm7・【Dm7(♭5)】・E♭maj7・【Fm7】・Gm7・【A♭maj7】・【B♭7】

サブドミナントマイナーFm7の代理コードであり、尚かつ同主調のダイアトニックコードはDm7(♭5)maj77です。

サンプル音源

ではそれぞれのサンプルを見てみましょう。まずはIIVm7→Iです。

譜例4
コード進行:F-Fm|C
MIDIを再生再生を停止MIDIファイル

このFm7の部分に代理コードを当て嵌めてみます。

譜例5 IIIm7(♭5)I
コード進行:F-Dm7(♭5)|C
MIDIを再生再生を停止MIDIファイル

譜例6 IVII
コード進行:F-A♭|C
MIDIを再生再生を停止MIDIファイル

譜例7 IVIII
コード進行:F-B♭7|C<
MIDIを再生再生を停止MIDIファイル

このページの用語
同主調:

例えばキーCメジャーの同主調はCマイナーであるように、開始の音が同一でメジャーとマイナーを反転させたキーのことを指す。

コラム:裏切るコード進行

コードの根拠を意識するとそのコードに対してのメロディーやハーモニーの組み立て方が捉え易くなります。ただし1つのコードに対する解釈の仕方、つまり根拠をどこに置くか?、というのは一様ではありません。

例えばサブドミナントマイナーであるFmに対して代理コードはB7が使える旨を解説しました。そしてその根拠として同主調のダイアトニックコードを引き合いに出しました。この解説に依ってコード進行を分析した時キーCメジャーに於いてB♭7が出てきた場合、「このコードはサブドミナントマイナー(Fm)の代理である」という結論になります。メロディーとコードの関係については後述しますが、このB7の時に使えるスケールは以上のことからCマイナースケールというふうに導き出すことができます。

譜例8
コード進行:F-【B♭7】|C。B♭7の箇所で使えるのはCマイナースケール

しかし時として音楽では裏切りも有効で別の根拠を用いてみるということが面白い結果を生むことがあります。このB7の例でいうと、例えばEmへのドミナントと仮定してみるのです。するとB7時に使うスケールはEハーモニックマイナースケールやEメロディックスケール、ということになります。

譜例9
コード進行:F-【B♭7】|C。B♭7の箇所でE♭ハーモニック(メロディック)マイナースケールを使うと次のコードはCではなくE♭mを予感させる

こういった構成でソロやメロディーを組み立てると7からEmに行くと見せかけてCへ行くという一種のトリックを使えるようになれます。あまりやり過ぎるとくどい手法ではありますが、少し目先を変えたい場合には有効なものです。 つまり通り一辺倒の解釈で音楽と付き合うと面白みに欠けるということもある、ということです。(※やたらと複雑怪奇にすればよいというものでもないのでご注意を)


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