音楽理論の雅楽寮

音楽理論:018

代理コード

ダイアトニックコードを学んでおいて主要和音という3種しか未だ取り挙げていませんでした。本項はその他のコードが主役となります。今までは基礎や用語についてが主だったので、もしかすると音楽理論の旨味を味わうのはこの項からかもしれません。覚えておいて損はありません。


本項の概略

ダイアトニックコード表

まずは12のキー全てのダイアトニックコードを表にしたものをご覧下さい。これがあるとこれから幾分楽なので画像としても用意しました。保存してご利用ください。尚ご利用のインターネット回線に合わせて複数の画質のものを用意しました。低画質のもの程表示は早く、高画質のもの程多少表示に時間はかかりますが綺麗な画像となります。右クリックで「対象を保存」(やそれに相当する項目)を選択することでお使いのHDにコピーされます。おすすめは別のタブで表示させておいて随時必要な時にご覧になる方法です。

ダイアトニックコード表の画像

因に下の表のFのキーに関してですが上の3つの画像ではGになっています。このキーはどちらでも表記できるものなので分けてみました。

ダイアトニックコード表
調性 調号 Imaj7 IIm7 IIIm7 IVmaj7 V7 VIm7 VIIm7(♭5)
調号:C Cmaj7 Dm7 Em7 Fmaj7 G7 Am7 Bm7(♭5)
調号:D♭ maj7 m7 Fm7 maj7 7 m7 Cm7(♭5)
調号:D Dmaj7 Em7 m7 Gmaj7 A7 Bm7 m7(♭5)
調号:E♭ maj7 Fm7 Gm7 maj7 7 Cm7 Dm7(♭5)
調号:E Emaj7 m7 m7 Amaj7 B7 m7 m7(♭5)
調号:F Fmaj7 Gm7 Am7 maj7 C7 Dm7 Em7(♭5)
調号:F♯ maj7 m7 m7 Bmaj7 7 m7 m7(♭5)
調号:G Gmaj7 Am7 Bm7 Cmaj7 D7 Em7 Fm7(♭5)
調号:A♭ maj7 m7 Cm7 maj7 7 Fm7 Gm7(♭5)
調号:A Amaj7 Bm7 m7 Dmaj7 E7 m7 m7(♭5)
調号:B♭ maj7 Cm7 Dm7 maj7 F7 Gm7 Am7(♭5)
調号:B Bmaj7 m7 m7 Emaj7 7 m7 m7(♭5)

代理コードとは?

表の色分けについて

上記の表は列毎に色分けされていますが、この意味を説明します。「本項は主要和音以外が主役」と言いましたが、一先ず主要和音に着目して下さい。トニック(Imaj7)とサブドミナント(IVmaj7)とドミナント(V7)です。そしてこれらの色は以下の様になっています。

  •    トニック:赤
  • サブドミナント:黄色
  •   ドミナント:緑

このようにそれぞれ別の色が付いています。これはそれぞれ別の性格であるということを表しています。第15項:主要和音>主要和音の各役割でやったようにトニックは安定、サブドミナントは準不安定、ドミナントは不安定といった具合です。つまりそれぞれの色はそのコードの機能的役割を表していることになります。

代理コードの考え方

それでは主要和音以外のコードに目を向けることにします。主要和音以外のコードにもそれぞれ色が付けられています。これは主要和音のいずれかに機能的に性格が似ているということです。例えばIIIm7とVIm7は赤ですからその性格がトニック的であるというわけです。このようにCmaj7に対してEm7やAm7のようなコードのことを代理コードといいます。

構成音の類似

性格が似ているということは構成音にも似た部分を持ってるということです。表を見るとキーCメジャーのトニック(Imaj7)はCmaj7です。

譜例1
コード:Cmaj7

この構成音をIIIm7(Em7)とVIm7(Am7)の構成音と比べてみましょう。

譜例2
Cmaj7:c・【e】・【g】・【b】コードEm7:【e】・【g】・【b】・d

譜例3
Cmaj7:【c】・【e】・【g】・bコードAm7:a・【c】・【e】・【g】

なのでトニック系のコードして成り立つのです。

あくまで類似

以上が代理コードの考え方ですが、間違ってはいけないのは「コードの性格は3種」と解釈してしまうことです。音楽理論ではトニック・サブドミナント・ドミナントという3種に機能的に分けているというだけです。ダイアトニックコードは7種あるわけですから厳密には7種の性格があるということです。代理コードであってもサウンドが全く同じにならないのは聴けば解るでしょう。

コラム:「機能」ではなく「響き」で代理コードとすると・・・

ここからは音楽理論の範疇ではありませんので気楽にご覧下さい。

少し代理コードを別の角度から見てみましょう。代理コードは機能的な類似に依って成り立っていることが解りました。しかし現代の音楽、特にポピュラー音楽は機能よりサウンド(響き)に重きを置いていることも多いので、サウンド的類似という側面から代理コードを考えてみたいと思います。

ダイアトニックコードの構造

以下の譜例4はキーCメジャーのトニック、コードCですが、このようにダイアトニックコードは全て3度毎に積み重なっているということに着目します。

譜例4
【c】・d・【e】・f・【g】・a・【b】

こうしてダイアトニックコードが成り立っている以上3度上のコードも必然的に似たものになるということがいえます。例えばc上にできるCmaj7とその3度上のeにできるEm7は含む音が似通ったものになります。

譜例5
Cmaj7:c・【e】・【g】・【b】コードEm7:【e】・【g】・【b】・d

当然といえば当然ですね。事実Em7はCmaj7の代理コードですからなんの不具合もありません。ではEm7とG7を比較した場合はどうでしょう?

譜例6
コードEm7:e・【g】・【b】・【b】コードG7:【g】・【b】・【d】・f

このようにEm7とG7も似てしまいますが、本来の代理コードのように機能的にみればEm7しトニック系でG7はドミナントです。しかしサウンド的には構成音が近いものなので似ています。ここではそれをまず代理コードとすることができると考えてしまうのです。

循環するコード

以上のルールで代理コードを考察すると、
Cmaj7→Em7→G7→Bm7(♭5)→Dm7→Fmaj7→Am7→Cmaj7

またCmaj7に戻ってきてしまうのです。「響きが似ているから3度上のコードは代理でいいだろう」と考えるとダイアトニックコード一式それぞれがそれぞれの代理コードということになってしまうのです。サウンド重視の最近の楽曲は音楽理論をそれ程考慮しないコード進行というのも沢山ありますが、それもこのように考えれば理解できるようになります。(この方法では「何でもあり」になってしまいますが)


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