音楽理論の雅楽寮

音楽理論:015

主要和音

ダイアトニックコードをより効率良く使いこなす為にはそれぞれの響きとしての性格を把握することが何より大事です。本項ではそんなコードの性質を知る為の基礎といえるでしょう。


本項の概略

主要和音とは?

トニック・ドミナント・サブドミナント

ダイアトニックコードのうち第1音上にできるコードをトニックといい、第4音上・第5音上のコードをそれぞれサブドミナントドミナントといいます。

譜例1
キーCメジャーのダイアトニックコード:【Cmaj7】・Dm7・Em7・【Fmaj7】・【G7】・Am7・Bm7(♭5)

これら3つのコードを主要和音と呼び音楽理論では重要なものとして取り扱います。

補足:ドミナントについて

ドミナントは正確にはドミナントセブンスコードといい、認められるのはセブンスコードだけです。つまりキーAマイナー時の第5音上にできるEm7はドミナントではありません。この点については次項のドミナントモーション第17項:マイナーキーでの主要和音を通して解説しています。

主要和音の各役割

3つの主要和音の響きとしての性質を表すと以下のようになります。

トニック

安定感があり曲の最初や最後でよく用いられる。

サブドミナント

動的なコードではありますがドミナントほど不安定さはないコード。

ドミナント

不安定なコードで次に進もうとする性格を持つ。特にトニックに進んで強い解決感を生む。

「主要和音」というぐらいですから極端な話、キースケール内だけでメロディーが完結しているような単純な楽曲にコードを付けようとした場合、この3つのコードだけで済ませてしまうことも可能です。

サブドミナントマイナー

ダイアトニックコード以外の重要なコード

もう1つ大事なコードにサブドミナントマイナーがあります。このコードは名前からも解る通りサブドミナントをマイナーコードにしたものです。

譜例2 キーCメジャーのサブドミナントマイナー:Fm7
Fm7:f・a♭・c・e♭、Fm:f・a♭・c

メジャースケール上にはない音が含まれるのでダイアトニックコードではないのですがコード進行を語る為には欠かせない存在となっています。

サブドミナントマイナーの根拠

では一体このコードは何処に由来するものでしょうか?実はこれは同主調の第4音上にできるコードを借用していると考えるのです。

譜例3
キーCマイナーのダイアトニックコード:Cm7・Dm7(♭5)・E♭maj7・【Fm7】・Gm7・A♭maj7・B♭7

マイナーキーからの借用なのでこのコードの性格はメジャーキーに於いて使用すると少し物悲しい響きとなります。キーCマイナーの場合、Fm(Fm7)というコードは4番目のコードなので機能としはやはりサブドミナント的なものになります。

ケーデンス

楽曲の構成

ケーデンスとはコード進行の最小単位のことです。ケーデンスを繰り返したり一部を変化させることでAメロやBメロのようなセクションとなり、色々なセクションがまた繰り返したり一部変化ながら繋がって大抵の楽曲は構成しています。

図1
【ケーデンス】→【セクション】→【楽曲】

5つの基本形

このケーデンスの基本形を表すと以下の5つとなります。表ではトニック・サブドミナント・ドミナント・サブドミナントマイナーをそれぞれ「T」・「SD」・「D」・「SDM」と略記しています。このような略記はよく使われるものです。またキーCメジャーの場合を4和音で記してありますが3和音でも同様となります。

ケーデンス一覧
ケーデンスの型 キーCメジャーの場合のコード
T-D-T Cmaj7-G7-Cmaj7
T-SD-T Cmaj7-Fmaj7-Cmaj7
T-SDM-T Cmaj7-Fm7-Cmaj7
T-SD-D-T Cmaj7-Fmaj7-G7-Cmaj7
T-SD-SDM-T Cmaj7-Fmaj7-Fm7-Cmaj7

これら5つのケーデンスが基本的なものになります。「主要和音でけでもコード付けは完結できる」と前述しましたが、更にこれら5つのケーデンス(の組み合わせ)だけでもコード進行を作れます。しかし、これらに当て嵌まらないコード進行も往々にしてありますのでそれ程神経質になるようなものでもないでしょう。

以下それぞれのサンプルです。

譜例4 T-D-T
コード進行:C-G-C
MIDIを再生再生を停止MIDIファイル

譜例5 T-SD-T
コード進行:C-F-C
MIDIを再生再生を停止MIDIファイル

譜例6 T-SDM-T
コード進行:C-Fm-C
MIDIを再生再生を停止MIDIファイル

譜例7 T-SD-D-T
コード進行:C-F-G-C
MIDIを再生再生を停止MIDIファイル

譜例8 T-SD-SDM-T
コード進行:C-F-Fm-C
MIDIを再生再生を停止MIDIファイル

このページの用語
キースケール:

キーの基本となるスケール。キーCメジャーの場合Cメジャースケールを指し、Cマイナーの場合は(普通)Cナチュラルマイナースケールを指す。

同主調:

例えばキーCメジャーから見た時のキーCマイナーのこと。このようにキー同士の関係を表すものはこの他に以下のようなものがあります。

  • 平行調 → CメジャーとAマイナーのように調号を変える必要のないキー同士の関係のこと。
  • 属調  → Cメジャーから見たGメジャーのように第5音を第1音とするキーのこと。
  • 下属調 → Cメジャーから見たFメジャーのように第4音を第1音とするキーのこと。


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