ダイアトニックコードをより効率良く使いこなす為にはそれぞれの響きとしての性格を把握することが何より大事です。本項ではそんなコードの性質を知る為の基礎といえるでしょう。
ダイアトニックコードのうち第1音上にできるコードをトニックといい、第4音上・第5音上のコードをそれぞれサブドミナント・ドミナントといいます。
譜例1
これら3つのコードを主要和音と呼び音楽理論では重要なものとして取り扱います。
ドミナントは正確にはドミナントセブンスコードといい、認められるのはセブンスコードだけです。つまりキーAマイナー時の第5音上にできるEm7はドミナントではありません。この点については次項のドミナントモーションや第17項:マイナーキーでの主要和音を通して解説しています。
3つの主要和音の響きとしての性質を表すと以下のようになります。
安定感があり曲の最初や最後でよく用いられる。
動的なコードではありますがドミナントほど不安定さはないコード。
不安定なコードで次に進もうとする性格を持つ。特にトニックに進んで強い解決感を生む。
「主要和音」というぐらいですから極端な話、キースケール内だけでメロディーが完結しているような単純な楽曲にコードを付けようとした場合、この3つのコードだけで済ませてしまうことも可能です。
もう1つ大事なコードにサブドミナントマイナーがあります。このコードは名前からも解る通りサブドミナントをマイナーコードにしたものです。
譜例2 キーCメジャーのサブドミナントマイナー:Fm7
メジャースケール上にはない音が含まれるのでダイアトニックコードではないのですがコード進行を語る為には欠かせない存在となっています。
では一体このコードは何処に由来するものでしょうか?実はこれは同主調の第4音上にできるコードを借用していると考えるのです。
譜例3
マイナーキーからの借用なのでこのコードの性格はメジャーキーに於いて使用すると少し物悲しい響きとなります。キーCマイナーの場合、Fm(Fm7)というコードは4番目のコードなので機能としはやはりサブドミナント的なものになります。
ケーデンスとはコード進行の最小単位のことです。ケーデンスを繰り返したり一部を変化させることでAメロやBメロのようなセクションとなり、色々なセクションがまた繰り返したり一部変化ながら繋がって大抵の楽曲は構成しています。
図1
このケーデンスの基本形を表すと以下の5つとなります。表ではトニック・サブドミナント・ドミナント・サブドミナントマイナーをそれぞれ「T」・「SD」・「D」・「SDM」と略記しています。このような略記はよく使われるものです。またキーCメジャーの場合を4和音で記してありますが3和音でも同様となります。
| ケーデンスの型 | キーCメジャーの場合のコード | |
|---|---|---|
| 1 | T-D-T | Cmaj7-G7-Cmaj7 |
| 2 | T-SD-T | Cmaj7-Fmaj7-Cmaj7 |
| 3 | T-SDM-T | Cmaj7-Fm7-Cmaj7 |
| 4 | T-SD-D-T | Cmaj7-Fmaj7-G7-Cmaj7 |
| 5 | T-SD-SDM-T | Cmaj7-Fmaj7-Fm7-Cmaj7 |
これら5つのケーデンスが基本的なものになります。「主要和音でけでもコード付けは完結できる」と前述しましたが、更にこれら5つのケーデンス(の組み合わせ)だけでもコード進行を作れます。しかし、これらに当て嵌まらないコード進行も往々にしてありますのでそれ程神経質になるようなものでもないでしょう。
以下それぞれのサンプルです。
譜例4 T-D-T
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MIDIファイル
譜例5 T-SD-T
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MIDIファイル
譜例6 T-SDM-T
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MIDIファイル
譜例7 T-SD-D-T
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MIDIファイル
譜例8 T-SD-SDM-T
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MIDIファイル
キーの基本となるスケール。キーCメジャーの場合Cメジャースケールを指し、Cマイナーの場合は(普通)Cナチュラルマイナースケールを指す。
例えばキーCメジャーから見た時のキーCマイナーのこと。このようにキー同士の関係を表すものはこの他に以下のようなものがあります。