本来前項まででとりあえずはキーというものの概略はできているのですが、音楽理論にとってキー(調性)というのは大切なものなので尚かつ実感するには多少時間が必要なので、もう少し押し進めてみたいと思います。今回は趣向を変えて喩え話で展開させています。
あるクラスに12人の生徒がいました。

彼らは仲が良くいつもこの順番で並んでいます。
彼らの学校で今度学芸会が行われることになり、「メジャースケール」という劇をやることにしました。そこで配役を決めなければなりません。この劇の特徴は主役が7人いるということです。彼らはその配役を椅子取りゲームに依って決めることにしました。

ただこの椅子取りゲーム、普通の椅子取りゲームとは少しばかり違った特殊なルールで行われます。それは
1.各生徒の並び順は絶対に変わらない
2.椅子は12個あり皆必ずいずれかの椅子に座ることができる
という点です。この1から7までの数字の付いた椅子に座れた人が劇「メジャースケール」に出演することができます。何故この間隔なのか、分かりますね?メジャースケールの全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音を基にしている為です。
普通の人間ならばそれぞれに性格があり個性がありますが、ここにいるC君〜B君は座る席によって性格が変わるという特徴を持っています。言い換えれば椅子にこそ性格がある、といえます。1〜7の椅子(厳密にいえばそれ以外の席にも)にそれぞれ性格がある、と考えるのです。
例えば次の様な席順になった時C君には「1」の性格が与えられ、同様にD君・E君・F君・G君・A君・B君はそれぞれ「2〜7」の性格を獲得します。この状態がキー=Cメジャーということになります。

では次の様になったらどうでしょう?

今度は「1」の性格になるのはG君です。それから順々にA君は「2」の性格、B君は「3」の性格、C君は「4」の性格、D君は「5」の性格、E君は「6」の性格、F♯君は「7」の性格ということになります。これはすなわちキー=Gメジャーの状態です。
最初の場合と比べてみると構成員の違いは「F君」か「F♯君」かの違いだけで、あとは一緒です。しかし、性格は別々です。最初の例ではC君は「1」の性格ですが、2番目の例では「4」の性格になっています。これを踏まえた上で次はもう少し音楽的に見てみましょう。
次の譜例1と譜例2をご覧下さい。簡単なメロディーが付いています。それぞれの音符の下数字はどの性格に当たるかを示したものです。
譜例1
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MIDIファイル
譜例2
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MIDIファイル
譜例1はキーがCメジャー、譜例2がGメジャーということになりますが、それぞれ同じ性格(同じ番号)の音を同じ並びにしたものです。聴いた感じは同じになりました。以前似たような状態を説明する時に「音程関係が一緒だから」と説明しましたが、それぞれの音の性格が同じだからと言い換えることもできるのです。
またいろいろなメロディーを聴いて分析していればその音が「何の音か?(何君か?)」が分からなくても「何番目の性格の音か?(何番目の椅子か?)」が分かるようになります。それを相対音感といいます。ちなみに「何の音か?」まで明確に分かるのを絶対音感といいます。
今回はの要点はメジャースケールのそれぞれの音には(厳密にはそれ以外の音にも)それぞれの性格がある、ということです。実際にそれを聴き分けるにはいろいろなメロディーを聴いて感じることが必要なのですが、それをここで少しでも感じてもらえればと思います。