恐らく音楽理論の初期段階で分かり難いのはこの度数表記というものかもしれません。度数表記は音程関係を表す音楽理論の用語ですが、取っ付き難く難解というイメージを与え易く、場合によっては音楽理論への不当な偏見を植え付けてしまうようなものになってしまうようです。少し腰を据えてトライしてみて下さい。
度数表記はメジャースケールを基にした音程の表記法です。言葉で説明すると尚分かり難いですから実際に見ていきましょう。下の図はメジャースケールを基にした定規だと思って下さい。
図1
この定規は通常の物理的距離を計る定規とは少し違う部分がありますのでまずはこの定規の特徴を挙げてみましょう。
度数表記は単位にcmやmmではなく度を使います。
度数表記では必ず1から始まります。物理的な距離(定規)の場合、物体同士が密着していれば「0cm」等と表せますが、音程の場合同じ高さの音は「1度(これをユニゾンともいう)」と表すのです。
ご覧の通り通常の定規とは違いこの定規は目盛の間隔が一定ではありません。これはメジャースケールの全・全・半・全・全・全・半という音の並びに習っているからです。
では早速この定規で何か音程を計ってみましょう。
ではcからeまでの音程を計ってみたいと思いますが、その場合基準となるのはcなのでcを1番左の目盛に合わせます。
図2
ご覧の通りcからeの音程は3度ということが分かります。この定規はこのようにして使います。
今度はeからgまでの音程なので1番左にeを持ってきます。
図3
eから見てgは2度と3度の間にあります。こういう場合は♯や♭を使って表せるので♭3度ということになります。
さてこの音程、「♯2度」と表せそうなものですがそれは間違いです。e〜gまでのアルファベットに順に番号を付けると、
となります。つまりeから見るとgは3度系の音なのです。ですからここは♭3度になるわけです。♯2度では「eからf♯♯の音程」を求めていることになってしまうのです。
次はdからf♯の音程です。なんとなくでも予想できるでしょうか?
図4
答えは3度でした。
音楽理論は例えば「cからe」と「dからf♯」は同じく3度なので、c・dにとってそれぞれe・f♯は同質のものとして捉えるのです。音楽そのものでは鳴る音の高さは重要ですが、音楽理論にとってはその音が何度なのかが重要なのです。これは第10項:3和音(トライアド)以降のコードを学ぶとよりはっきりと分かることでしょう。
音程を判別するプログラムを作りました。参考にして下さい。このプログラムは左で選択した音を基準に1オクターブ以内で右で選択された音までの音程を判別します。(つまり右で選択された音は左の音よりも必ず同じか高い音として解釈します)
※このプログラムはJavascriptを利用しています。正常に動作しない場合はそれぞれのブラウザの環境設定などを確認して下さい。
から までの音程を
ここではコードとは複数の音がある規則を持って同時に鳴ったものと解釈して下さい。コードに関して詳しくは第10項:3和音(トライアド)以降をご参照下さい。
例えばcからgの音程を見る場合、何の前提もなく考えれば「5度である。」と言えます。しかしそれはc・d・e・f・「g」と、cから順に高い方に見た場合です。ご存知のようにgはc・b・a・「g」と下がってきたところにもあります。
譜例1
つまりcから下のgを見た場合(結局gからcを普通に見た場合と同じ)その音程は4度ということになります。
譜例2
この様に上下で音程は変わるのでどの音か特定しなければならない場合では一般的に「5度上のg」又は「4度下のg」等と言ったりします。また参考として上下の音程の数字を足すと「9」になります。
| 上 | 下 | |
|---|---|---|
| c→c | 1度 (ユニゾン) |
8度 (オクターヴ) |
| c→c♯ c→d♭ |
♯1度 ♭2度 |
♭8度 7度 |
| c→d | 2度 | ♭7度 |
| c→d♯ c→e♭ |
♯2度 ♭3度 |
♭♭7度 6度 |
| c→e c→f♭ |
3度 ♭4度 |
♭6度 ♯5度 |
| c→e♯ c→f |
♯3度 4度 |
♭♭6度 5度 |
| c→f♯ c→g♭ |
♯4度 ♭5度 |
♭5度 ♯4度 |
| c→g | 5度 | 4度 |
| c→g♯ c→a♭ |
♯5度 ♭6度 |
♭4度 3度 |
| c→a | 6度 | ♭3度 |
| c→a♯ c→b♭ |
♯6度 ♭7度 |
♭♭3度 2度 |
| c→b c→c♭ |
7度 ♭8度 |
♭2度 ♯1度 |
| c→b♯ c→c |
♯7度 8度 (オクターヴ) |
♭♭2度 1度 (ユニゾン) |